「数字は合っている。しかし、その数字は本当に"真実"なのか。」
PEファンドの投資判断では、対象会社から提示される決算書、事業計画、KPI、取引データを前提に企業価値を評価します。ところが、粉飾決算、循環取引、架空売上、横領・資産流用、関連当事者取引などの不正が潜んでいれば、通常の財務DDだけでは重要なリスクを見落とし、投資価格、契約条件、投資後のガバナンス設計まで誤るおそれがあります。
本書『PEファンド実務 不正・フォレンジックDD編』は、PE投資の現場で必要となる「不正を疑い、兆候を発見し、証拠を組み合わせて投資判断につなげる」ためのフォレンジックDDを体系的に解説する実務書です。
フォレンジックDDは、財務DDの代替ではありません。財務DDが収益力、運転資本、ネットデット、キャッシュフローなどを投資判断の観点から検証するのに対し、フォレンジックDDは「提示された情報に作為がないか」という懐疑的な視点から、証憑、取引実態、銀行入出金、関係者、電子データなどを追跡します。両者を組み合わせることで、単なる数値分析では捉えにくい不正リスクを立体的に評価できます。
本書ではまず、PE投資と不正リスクの全体像を整理します。投資検討・DDフェーズ、投資後のバリューアップフェーズ、Exitフェーズのそれぞれで、どのような不正インセンティブが生じ得るのか。財務報告不正、資産流用、汚職・コンプライアンス違反が、投資額の毀損、追加損失、Exit価格の低下、レピュテーション、次号ファンドの資金調達、法的責任にどう波及するかを解説します。
続いて、粉飾決算を実務的に分解します。架空売上・前倒し売上、過剰在庫、費用計上の先送り、簿外債務など、企業価値を過大に見せる代表的な手口を取り上げ、売上債権回転日数、在庫回転率、売上総利益率、営業キャッシュフローと&