深夜、ウルグアイの海辺に建つ邸宅で、英国陸軍の退役大佐エドワード・ハーコートが浴槽の中で死亡しているのが発見された。
室内に争った形跡はなく、事故死にも見えた。だが、遺体の両腕に残された不自然な痕跡が、その静かな光景に疑問を投げかける。
捜査に乗り出したルシアンが発見したのは、大佐が翌朝公表するはずだった声明文と、そこから消えた一枚の書類。そして、十年前に起きた若い作業員の死亡事故だった。
妻、娘、弁護士、使用人。それぞれが知る事実は食い違い、長年守られてきた沈黙の奥から、少しずつ別の真実が姿を現していく。
過去の死と現在の殺人は、どこでつながっているのか。
証拠を追うほどに明らかになるのは、一人の人間の罪だけではない。真実を知りながら沈黙を選んだ人々と、その選択が残した取り返しのつかない結果だった。
ブレイク・ノワールが描く、緻密な捜査と人間の責任をめぐる犯罪ミステリー。ルシアン・シリーズ第3作。